ムスビテ
【 不揃いの美 】 このところ寸暇を見つけては納屋を造っている。たかが納屋しかも内側なんて見えがかりもしないのだからどうだっていいなどとは思わない。されど納屋。せっかくならば美しくあってほしい。手をかけるのはよろこびだ。資材は折にふれてありがたく手元に集まって来てくれる古材や廃材、間伐材製材所の端材や大工さんのハネダシ材等々。つまりは、ゆくゆく捨てられたり燃されたりする運命にあったこうした材たちは反り、割れ、歪んで、暴れ素性も寸法も不揃いでまして素人の自分にはじつに扱いにくい。造作に用いるには手間ひま根気を要するが材どうしの相性をかんじつつ知恵の輪を組むような工夫をこらし失敗してはまた やり直し水平・垂直・勾配や切り欠き、接ぎ等キッチリきめておさめることに成功すると不揃いならではの美がしずかに、立ち現れてくる。それがとても嬉しくてタイヘンと言えばタイヘンな作業が楽しくてしかたないのです。